kazuさんのダイアリー(仮)

07年3月から始め、19年1月にダイアリーからブログに引っ越し。

「NATOの東方不拡大の約束」は本当か?専門家の違い

ウクライナ侵攻で世界中の報道が席巻されている。
プーチンが悪いのか、NATOが悪いのか。
プーチンは「NATOの東方不拡大の約束」が反故にされたと主張している。
だからウクライナ侵攻はやむを得ないのだという。
NATOの東方不拡大の約束」はあったのかなかったのか。
専門家で事実認識に違いがでている。

◇『NATO不拡大の約束はなかった 袴田 茂樹』
NATO不拡大の約束はなかった | 公益財団法人日本国際フォーラム

ロシア側が前提としていることは、全くの間違いまたは意図的なフェイク情報だということである。それを説明するために、西側の情報だけでは説得力が欠けるので、私の言わんとすることを立証するロシア側の情報や、当事者ゴルバチョフの証言、90年代初期のロシア政治家やまた今日のロシアの専門家などに耳を傾ける。

ゴルバチョフ自身が2014年10月16日に、「当時はNATO拡大の問題そのものが提起されなかった。それは私が責任をもって確言できる」とRussia Beyond the Headlines(露の英語メディア)で述べている

◇『YOUTUBE山本太郎 in JAZZ LIVE SHOW 2】 ゲスト:伊勢崎 賢治 氏2022年2月27日』
伊勢崎 賢治 氏は東京外国語大学教授、同大学院教授(紛争予防と平和構築講座長)。国連PKO暫定行政府の県知事を務める。紛争解決請負人と自称。
【山本太郎 in JAZZ LIVE SHOW #2】 ゲスト:伊勢崎 賢治 氏 - YouTube 24分39秒から。

アメリカの公文書に (中略)
ゴルバチョフが強硬派に潰されないように (中略)
当時のサッチャーさん、コール首相たちが密約としてゴルバチョフに配慮して (中略)
東方拡大しない事を約束していた

山本太郎率いるれいわ新選組は、国会におけるウクライナ情勢をめぐる「状況を深く憂慮し、力による現状変更は断じて容認できない」などとする決議に反対している。

◇『独統一の際、NATO東方不拡大の約束はあったのか 小田 健(ジャーナリスト、元日経新聞モスクワ支局長)』
独統一の際、NATO東方不拡大の約束はあったのか(ニュースソクラ) - Yahoo!ニュース
小田 健氏は当事者、専門家で意見が分かれている事を指摘している。

ジェームズ・ベーカー米国務長官が1990年2月9日、ミハイル・ゴルバチョフソ連党書記長と会談した際、NATOを「東方へは1インチたりとも」拡大しないと言った。正確にその時の発言を引用すると、統一ドイツがNATOの加盟国としてとどまれるなら、「NATOの今の軍事的、法的範囲が東方に1インチたりとも広げないと保証することが重要だと思っている」と述べ

米国のマーク・クレーマー、カーク・ベネットらはそんな約束などなかったと主張する
(中略)
NATO東ドイツ部分に広げるかどうかは議論されても、NATO中欧・東欧諸国に拡大するか、しないかという問題は協議されなかった。

ゴルバチョフは約束があったと言う。しかし、ゴルバチョフと一緒にソ連の新思考外交を担ったエドワルド・シェワルナゼ外相(のちグルジア大統領、故人)はそうした約束はなかったと述べ、ベーカー(故人)もベーカー長官の顧問だったロバート・ゼーリックもそんなことを約束していないと反論した

《結論》
NATOの東方不拡大の約束」は条約として約束をしていない。
NATOの東方不拡大の約束」の密約をしたらしいがそれは東ドイツをどうするか、である。いや、「NATOの東方不拡大の約束」はしたのだ、と専門家で意見がわかれている。

なのでプーチンの言う「NATOの東方不拡大の約束」は当時の当事者をもってしても意見が分かれるレベル、と考えられる。
プーチンの主張は慎重に扱われるべきなのかもしれない。